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昭和63年の広島・呉原を舞台に、暴力団の抗争と警察内外のしがらみをスリリングに描いた映画『孤狼の血』。“警察小説×『仁義なき戦い』”と評された作家・柚月裕子による傑作小説を、『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』の白石和彌監督が映画化した。
役所広司、松坂桃李、江口洋介ら男達の睨み合いがスクリーンいっぱいに繰り広げられる本作において、ひとときの清涼感を与えているのが、阿部純子演じる“桃子”。松坂演じる“日岡”の傷の手当てをした事をきっかけに、恋愛関係となっていく薬剤師の女性をみずみずしく演じている。原作にはないオリジナルキャラクターとして、強い存在感を示した阿部に映画について、役作りについて話を聞いた。
■オーディションで大抜擢
――出演にあたり、台本を読まれての率直な感想お聞かせください。
阿部:私には分からない男同士の抗争を描いた物語だからこそ、脚本を読み始めたら一気に読み進めてしまって。完成した映画もヤクザ映画でありながら、男の友情など、女の私から観ても面白い、共感できる部分が多かったです。役者さん達が本当に躍動感溢れていましたし、いち観客として、エンターテイメントとして楽しめました。
――阿部さんが演じた桃子は原作にないキャラクターですね。
阿部:私が演じる桃子が出てくるシーンにはラブストーリー要素が多くて、他のシーンとテイストが違っていました。どうしようかなとは思ったのですが、監督に「考えすぎないように」と言われていたので、日岡との関係性を大切に演じようと思いました。
©2018「孤狼の血」製作委員会
――オーディションに参加しての抜擢だと伺いました。
阿部:監督の『ロストパラダイス・イン・トーキョー』(2010年)を観ていて、好きだったので、ずっとお仕事してみたいなと思っていました。別の現場でお会いした時の事を監督が覚えていてくれて、オーディションに声を掛けてくださいました。オーディションでは桃子のセリフが書かれた台本をいただいて、缶ビールを飲む仕草をしながら桃子のお芝居をしてみたり。薬剤師役ではありますが、それだけじゃない桃子の女らしさを見せなきゃなと思って挑みました。
――桃子はこの映画の中で唯一の癒しというべき、闘争や抗争とは違う場所にいるキャラクターですが、驚くべき二面性も持っていましたね。演じる上で工夫した点はありますか?
阿部:脚本に忠実に演じようと心掛けていました。というのも、役所さんと松坂さん以外の役者さんにお会いする機会がなかったので、他のシーンがどうなっているか想像するしかなかったんです。あと、監督に「桃子をこう演じてほしい」と言われることはなく、役を私に委ねていただいていたので、二面性という部分はあまり考えすぎずに、脚本通りまっすぐに演じさせていただきました。
――本作を観た男性は全員、桃子にやられちゃうと思います(笑)。
阿部:本当ですか?!でもあの桃子の可愛さも脚本通りなんです(笑)。脚本に描かれている人物像が、「演じたい!」と思うほどの魅力的なキャラクターだったので。この役を任せてくれた監督のおかげだと思います。
――呉弁もとにかく可愛くて。
阿部:ありがとうございます、可愛いですよね!呉弁の方言が入ったCDをいただいて、ずっと練習していました。現場でも方言指導の方とお弁当を食べながら呉弁で会話したり。私は大阪出身なので気をつけないと、関西弁になってしまうので結構苦労しました。
――今でも話せるんですか?
阿部:びしゃびしゃじゃなくて、びちょびちょよ~(呉弁で)。って感じですかね(笑)。
――いやあ、本当に可愛くて、いまこの場がどよめきましたね(笑)。
阿部:あのセリフ結構恥ずかしかったんです!でも良かったと言っていただけてありがたいです。
■男気溢れるところが好き!
――役所さんと松坂さんの薬局での迫力あるシーンを間近でご覧になっていかがでしたか?
阿部:あのシーンは何度かリハーサルをやっていたのですが、役所さんが毎回演じ方を変えられていて。「こうしたら面白いんじゃないか?」って、どんどんレゴを重ねていくようにシーンを作っていて。私が日岡を手当てする場面に行くまで、役所さんがかなりいろいろと試されていたんです。完成した作品を観た時「(役所さんは)こういう事がやりたかったんだ!」って思って。面白かったです。
――登場人物の中で、阿部さんはどの男性に惚れてしまいそうですか?
阿部:ガミ(大上=役所)さんの男気溢れるところがすごく好きで、人を本気で守るというのはこういう事なんだなって思いました。常に誰かの事を考えて行動している。役所さんご自身も、尊敬している俳優さんの一人だったので、すごく緊張していました。でも実際にお会いすると本当に気さくな方で。演技論を語るとかではなく、「お弁当のこれおいしいね」とか、そういう他愛のない会話をして場を和ませてくださって。
■“濡れ場の天才”松坂桃李とのシーン
――松坂さんの印象はいかがですか?
阿部:松坂さんは現場の王子様という感じで(笑)。物腰がすごく柔らかくて優しいので、これも人を惹きつける力なのかなと思っていました。あと、白石監督には常にいじられていました。前作(『彼女がその名前を知らない鳥たち』)も拝見したのですが、監督と松坂さんは映画作りにかける想いが共通しているんだなと感じました。普段優しい松坂さんから日岡に、モードがガラッと切り替わるわけではないのに、全然違う表情をされていて、演じることに垣根のない方でした。
――監督は「松坂さんは濡れ場の天才」とおっしゃっていました。
阿部:本当にそうですね(笑)、監督には「任せておけば大丈夫だよ」と言われました。どういう風に動けば、どう映るのか分かっている感じで。
――『孤狼の血』を制作した東映は、過去にいくつものヤクザ映画を世に送り出してきましたが、他のヤクザ映画は観ましたか?
阿部:『仁義なき戦い』(1973年)を観ました。桃子という役を完全に任せていただいていたので、映画の中で、女性の登場人物達がどの様に演じているのかを観たくて。女達が男達に翻弄させながら、どう生きていたのかを観られてすごく勉強になりました。『仁義なき戦い』を観るまでは、ヤクザ映画って、男の人がスカッとする様な作品だと思っていたんですね。でも実際に観たら、登場人物達の生き様と絆が描かれていて、それは現代に生きている私も共感する部分が多かったので、新たな発見でした。
――なるほど。先ほど、白石監督の『ロストパラダイス・イン・トーキョー』を観ていたとおっしゃっていましたが、それはリアルタイムですか?
阿部:はい。映画館で観たので、高校生だったと思います。とにかく圧倒されて、「この監督の頭の中ってどうなってるんだろう?」と思って、それは今も変わりません。映画を観て、本当に白石監督の大ファンだったので、監督にオーディションに呼んでいただいただけでも嬉しかったのに選んでいただけて光栄ですし、これからも白石組に参加できるように頑張ろうと思っています。
――ちなみに、高校生の時に『ロストパラダイス・イン・トーキョー』を選ぶとは、チョイスが大人びているなと思うのですが、阿部さんの作品選びの軸があれば教えてください。
阿部:今は色々観るのですが、その時(高校生時代)はそういった個性のある作品が好きでした。今は、名作と呼ばれる物が面白くて。チャップリン、(アッバス・)キアロスタミとか、キアロスタミの作品は今一番グッと来ています。雑誌で「監督が選ぶ映画◯本」という特集を観ながら、色々勉強中です。
――『仁義なき戦い』もそうですが、名作と言われている作品は本当にパワーがありますよね。ありがとうございました!
Photography=Mayuko Yamaguchi
Interview=Ameba
Stylist:Sanami Okamoto
<衣装クレジット>トップス\33,000+ tax、ボトム\34,000+ tax(以上ともにAURALEE/Burnish) サンダル\31,000+tax(FABIO RUSCONI/
映画『孤狼の血』5月12日(土)全国公開
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©2018「孤狼の血」製作委員会
【STORY】
物語の舞台は、昭和63年、暴力団対策法成立直前の広島。所轄署に配属となった日岡秀一は、暴力団との癒着を噂される刑事・大上章吾とともに、金融会社社員失踪事件の捜査を担当する。常軌を逸した大上の捜査に戸惑う日岡。失踪事件を発端に、対立する暴力団組同士の抗争が激化し……。