ファン必見！クルマ

炎天の中で出会った人。

Tomoさん。

きのう８月２日は、猛暑も猛暑、朝からひどい暑さで、駅まで歩いただけで汗が噴き出す。草加市は３８℃、湿度６０パーセントに達した。そんななか、ぼくは重いリュックサックを背負って新越谷に向かった。

午前１０時、新越谷駅ロータリー前での待ち合わせ。

時間になって、ぴったりそこにあらわれたのは真っ赤なアウディだ。

彼女のクルマが赤のアウディであることを事前に知らされていたので、ロータリーの車寄せの３０メートルほど先で待っていたぼくは、手を大きく振った。たとえ間違ってもいいと思って、じぶんはここにいるよ！　といってお相手にお知らせした。

ほどなくして、彼女のクルマが目のまえで停まった。

「こんにちは、すぐわかったわ」といって、彼女はぼくを車内に招き入れた。クルマのなかは涼しかった。彼女のクルマは左ハンドルだ。

「カッコいいね、このクルマ」というと、

「そうですか」といって、彼女はロータリーをぐるっとまわって、突き当りの割烹レストラン「源氏」のまえを右折した。ぼくはいろいろおしゃべりした。彼女もいろいろおしゃべりした。ぼくらは１０年来の知り合いみたいにして、はばかることなく、驚くほど愉快に会話が弾んだ。

滑り出しは上々。

「わたしのこと、Tomoさんと呼んでくれますか？」と、彼女は親しみを込めていったので、ぼくは「Tomoさん」といって話しかけた。そして、ちょっと遠出をして、とあるレストランに入り、ぼくらはそこで５時間も過ごすことになった。

Tomoさんとはメールでいろいろ話し合っていたのだけれど、会うのはきょうがはじめてだった。はじめてでも、ぼくらは緊張したり、余計な気配りをすることなく、ごく自然に会話が盛り上がっていく。

♪

ぼくはどういえばいいか、女性と出会うシーンというのが、しばしばとても奇妙なのだ。

Tomoさんにその話をした。

「へぇぇ、その人とは、電車のなかで出会ったんですか？」とTomoさんも、あきれたみたいに大きな目でぼくを見つめた。

「――ですから、その人との、そもそもの出会いについて、ぼくは、人にきかれたくないんですよ。《どこで出会ったの？》ときかれて、ぼくは《電車のなかで》といってしまったことを、とても後悔しましたよ」

「――でも、聞きたいわ。その電車のなかでの出会いって、どんな出会いだったのかしら？」と、Tomoさんはいった。

ぼくは、こんな話の展開になるとは、おもってもいなかった。

――あれは勤務を終え、六本木のオフィスを出て、赤坂駅から電車に乗り、日比谷で三田線に乗り替えて、しばらく行った先で、大勢の人が乗り込んできたときだった。ぼくの座っている席が、ほんの少し空いていた。リクルートスーツを着た女性が目の前に立った。隣りの人とのあいだが２０センチほど空いていた。ちょっと詰めればひとりぐらい座れるかもしれない。ぼくはお尻を動かしてスペースをひろげた。彼女は腰かけた。

だが、とても窮屈だった。

電車が揺れると、彼女とぼくのお尻も同時に揺れた。そのうちに、彼女はぼくの肩に静かに頭を乗せて眠ってしまった。彼女が乗り過ごすといけないとおもい、ぼくは声をかけた。

「すみません。……わたし、志村坂上で降ります」と彼女はいった。ぼくもそこで降ります、と答えた。

そして彼女は、ぼくが読んでいる本をじっと見つめた。ビアトリクス・ポターの「ピーターラビットのおはなし」という英語版の本だった。

彼女は声をかけてきた。その目に、一瞬だけ明るい光の花束を感じさせた。細くてながい眉毛が前髪に見え隠れしていた。彼女は絵本作家を目指しているといった。

そして志村坂上でいっしょに降りると、「どうです、ちょっとお酒飲んで帰りませんか？　あなた絵本の話，もっと聞きたい」とぼくはいった。駅前にある小さなスナックだ。彼女は止まり木に腰かけていろいろ話した。彼女はまだ学生で、昼間は法律事務所で働いているという。

「でも、わたしには、子どもがいます。結婚のリハーサルで失敗してしまって、その人とは別れました」といった。ぼくはすごい話を聴かされた。彼女はまだ２０代前半のように見える。

だから彼女は疲れていたのだなと、ぼくはおもった。

「元気だしてください。そうそう、こんどの日曜日、ぼくのマンションでホームパーティするんですが、飛び入りで参加してみませんか？　テレビ局の人たち１５人ほどがあつまります」といった。

「うわー、すてきですね。ぜひ参加させてください」と、彼女はいった。

「赤ちゃんも連れてきてね」といった。

♪

「へぇぇ、そんな話、聴いたことない！」とTomoさんはいった。

こんな話をしたものだから、ぼくらは５時間もおしゃべりすることになった。ホームパーティでの話や、マンションのエレベーターのなかで人の名刺を拾って、その人に電話した話など。

それは美容師さんの名刺で、電話をすると彼女に「いらしてください」といわれ、板橋の彼女の経営する美容院に通った話とか、初対面のTomoさんに打ち明け話みたいに話してしまった。

「なぜ名刺なんか拾ったのかって？」

その話もした。

細木数子さんの本を読んでいたら、運気の悪いとき、ふだん絶対にしないことをすれば、悪い運気を避けることができると書かれていたからだった。だからぼくは、落ちていた名刺を拾い、彼女に電話をしたのだった。

ぼくはあるタレントの事務所主催のオーディションに合格したのだけれど、このゲジゲジ眉毛、なんとかならないものかと考えていたところだった。ＣＭタレントになろうなんて、ぼくは真剣に考えていなかったのだけれど、テレビ局のある部長は、ぼくに、しきりにＣＭタレントになることをすすめるのだ。

「これからは、熟年向けのＣＭが増えます」といって。

美容師さんは、何かしてくれそうだと考えて、板橋の美容院まで出かけていったのだ。ところが、ベッドの上でからだを横たえると、美容師さんはいった。

「左右の脚の長さが、３センチも違います。こっちを先に治しませんか？」と彼女はいった。

「――おもしろいですね」と、Tomoさんはいった。

札幌では、バスに乗り遅れた女性を見て、ぼくのクルマに乗せて、雪道�
��走るバスを追い越し、大通り公園の彼女の会社まで、そのまま乗せていったこともある。ぼくの会社も大通公園に面したところにあった。彼女は自動車メーカーの札幌支店で働くОＬさんだった。名刺を交換し、ときどきお昼ご飯をいっしょに食べたりした。

札幌といえば、ある家電メーカーのショールームに勤務するお嬢さんが、大きな荷物を持って、舗道でタクシーを待っているのが見え、彼女をクルマに乗せて運んであげたことがある。ぼくとは顔見知りだったが、赤信号でクルマが止まっているとき、彼女はくしゃみが出そうになり、口に手をあてて、腰を折ってそれを我慢した。そのとき、不覚にも彼女はおならをしてしまった。

彼女は「ごめんなさい！」といって、大急ぎで窓を開けたりした。

「我慢しなくていいんですよ」と、ぼくはバカみたいな話をした。「これがほんとの、臭い仲っていうんじゃないの」といったら、大きく笑って、彼女はぼくの肩をポンと叩いた。それからぼくらはとても親しくなった。

ショールームに行くと、彼女はぼくのために、黙ってテーブル席にコーヒーを淹れて持ってきた。そして「いらっしゃいませ」といってお辞儀をした。

ある日、彼女を誘って映画を観た。

♪

Tomoさんもいろいろな話をしてくれた。

４４歳、彼女はとても話好きな人だった。「わたしは人見知りをしないの」といい、気軽になんでも話してくれた。仕事の話は聞かなかったけれど、多忙のようだ。そのため、なかなか会うチャンスがなかった。やっと時間ができたといって、メールを送ってきた。

LINEやりましょう、といわれていたのだけれど、やり方がわからなかったので、ぼくはメールだけで応じていた。

きのうはやり方を教えてもらった。別れてから部屋について、送信したつもりだったけれど、さっき見たら、送信ボタンを押し忘れていることに気づき、午前３時３２分にやっと送信が完了した。やれやれ。

Tomoさんはこれを見て、「よくできました」とおもってくれるだろうか？　ちょっと不安だ。

先年スマホを買い替えたのだけれど、まだぜんぜん慣れていない。

先日、水着のモデルをして、３０着の水着を着てスタジオ撮影をした話をしてくれた。そんな仕事があることにちょっと驚いた。Tomoさんのだんなさまは、Tomoさんのやることに口出しはしないそうだ。

「ですから、わたしは自由です」といっている。うちのヨーコとはぜんぜん違う。ヨーコは大いに口出しをする。それはそれで居心地が悪いというわけでもなく、、とくに我慢しているというわけでもない。いろいろな夫婦がいて、それでいいのだ、とおもえる。

帰りに、Tomoさんは図書館まで送ってくれた。そこで１０冊の本を返し、また１０冊の本を借りた。きのうはとても愉快な日だった。

○　プロローグ

私は2011年頃から、小劇場・中劇場を中心に、熱心に

お芝居を観るようになりました。

その頃、「お綺麗で気品のある女優さんだなぁ～」と、

いつも見入ってしまっていた俳優さんが、小林夏子さん

でした。

【参考】

［当時の小林夏子さん出演舞台に関する記事］

＜『ＮＯＩＳＥＳ　ＯＦＦ（ノイゼス　オフ）』（2011年6月）

のレビュー＞

（ただし、単独レビューではありません。）

＜『帰路』（2011年8月）のレビュー＞

（ただし、単独レビューではありません。）

＜『虹色の輪舞曲（ロンド）；８色のオクテット』（2012年

1月）のレビュー＞

ただ、その後、小林さんは、類い希なる美貌を買われ

て、映像分野や商業演劇的なフィールドでの活躍が

多くなり、ワタクシ的にはちょっとご無沙汰してしまい

ました。

が！　2016年の年末に、SPACE梟門での出演舞台を

久々に観ることができまして、演技面でも審美面でも

益々ステキな成長を続けている俳優小林夏子の存在

に、改めて魅せられた次第です:*:・(￣∀￣)・:*:。

【参考】

＜『ヘナレイデーアゲイン』（2016年12月）のレビュー＞

※

ちなみに私は、この『ヘナレイデーアゲイン』を、2016年

度下半期のマイベストステージランキングで、２位に選

定させていただきました。

＜『2016年度下半期マイベストステージランキング』＞

その後、小林さんは、2017年8月3日の34歳の誕生日

に、永（はる）夏子と改名され、現在に至っています。

再び舞台に話を戻しますと、最近では、『円盤』（2018

年1月）という夏子さん出演作品を、私は観ていますが、

諸般の事情により、このレビューはアップできませんで

した。

また、約一週間前の3月21日には、同じく出演舞台で

ある『背中をみせて』の初日を観ることができました。

終演後の役者面会で、「こんな感じで映画評を書いて

みましたが、ご異論やご意見等がある場合は、ご連絡

をお願いします」というやりとりを経て、今回の短評を

アップさせていただきました。

（なお、最終的には、夏子さんに事前に見ていただい

た草稿に加筆したものを、ここにアップしています。）

以上、長々と前置きを書かせていただきました。申し訳

ありません。

永（はる）夏子さんの一ファンとして、かなり衝撃的な内

容の映画ではありましたが、おそらく一般公開時には、

映倫の審査によって絶対にカット（もしくは修正）されて

しまうであろう「幻の作品」かと考えますので、そんな点

も意識して、短評を書いてみた次第です(^人^)。

○　映画『スティルライフオブメモリーズ』について

第13回大阪アジアン映画祭において、世界初上演となった

映画『スティルライフオブメモリーズ』（矢崎仁司監督）を、3

月10日に、シネ・リーブル梅田で観てきました。

■　まず、『スティルライフオブメモリーズ』という映画について

多数の映画関係サイト等が、この映画についての記事を掲載

していますが、「SANSPO.COM(2018.1.31 05:00 配信記事)」が

最もわかりやすく紹介していますので、まず、その一部を、以下

に引用させていただきます。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

リアルな女性性器を描写した衝撃の映画が初めて製作された

ことが３０日、分かった。

７月２１日公開の「スティルライフオブメモリーズ」（矢崎仁司監

督）で、俳優の安藤政信（４２）が主演。恋人の美しい性器に魅

せられ写真集を出版したフランス人写真家、故アンリ・マッケロ

ーニ氏がモデルで、アンリ氏を日本人に置き換え山梨県で昨年、

撮影された。

映画は、写真家（安藤）と恋人（松田リマ、２４）、写真家に自身

の性器撮影を願い出る女性（永＝はる＝夏子、３４）の奇妙な

三角関係を描く物語。永も松田も全裸になり、松田は安藤との

濡れ場も。全編にわたりエロチシズムがあふれる。
 

ラストで女性性器をさまざま角度から撮影したアップ写真が、数

十枚にわたり映し出される。

それが映画全体を包み込むように、観客の脳裏に焼き付く印象

的なシーンとなる。劇中で使われる写真はすべて、女性カメラマ

ン、中村早（さき）さんが撮影したものだという。

（後略）

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

（「SANSPO.COM(2018.1.31 05:00 配信記事)」より引用）

上の記事をお読みいただければわかりますように、なかなか

衝撃的な内容の映画ですので、一般公開される際にはかな

りの修正が入るものと思われます。

永夏子さんご自身も、ブログで、「劇場上映ver.はまた編集が

変わるようなので無修正のオリジナルver.は幻の作品と言え

るかもしれません」とおっしゃっています。

【参考；引用箇所が載っているブログ記事】

【参考】

＜永夏子さんご自身のブログにおける紹介記事＞

私も全く同感でして、「幻の作品」をこの目でしかと観て脳裏

に焼き付けることができ、至福の時間を過ごすことができま

した。

以下、短評です。

※

『第13回大阪アジアン映画祭』の公式パンフです。

残念ながら、永さんご自身の当映画祭での舞台挨拶等は

ありませんでしたので、（上述しましたように）3月21日の舞

台観劇時に、（永さんから）「永夏子」というサインをいただ

きました。

■　こんな映画でした……

(1)

私は学校の先生をしていますが、矢崎仁司監督は同郷

の人でして、事実、数年前には、監督の母校に勤務した

経験もあります。

上演後、監督と名刺交換をした際にも、そんなお話しを

させていただきましたが、なぜこんなエピソードをここで

書いたのかと言いますと、スクリーンに映写される風光

明媚な景色、鄙びた田舎の光景……等々も、ほぼ全て、

「あっ、あそこでロケをしたんだ！」と、ロケ地が特定でき

たからです。

上演開始早々映し出されたループ橋も、ラストシーンの

余韻を感じさせてくれた薄暗いトンネルの内部も、私自身

クルマで走った�
�とは何度もありますが、地元住民にとっ

てはいわばルーティーンとも言うべき景色を、目眩（めくる

め）くようなアートフィルムに昇華させてしまう矢崎監督の

映像美に、全編を通じて大いに惹き付けられました。

(2)

人間の持つ光の部分、もっとわかりやすく言うと、道徳的

に称賛されるような行為等を描く演劇や映画も、もちろん

必要でしょう。

まあ、もちろんこの「路線」が行き過ぎると、社会主義国家

のプロパガンダ映画・プロパガンダ演劇みたいな、アートの

名に値しない、唾棄すべき作品になってしまいますが……。

だからこそ私は、人間の醜い部分とか、性欲や性行為等に

代表される、人間の蠢くような情動といったようなモチーフを

描く演劇や映画が創られることこそが、（ちょっと大げさに言

えば）民主主義社会の健全度を示すバロメーターになると

考えています。

矢崎監督は、例えば『不倫純愛』でも、嘉門洋子さんと津田

寛治さんの性行為のシーンを超長まわしできっちりと撮って

いましたが、今回の作品においても、想像を超えるオールヌ

ードシーンや濡れ場を、お二人の女優さんに手加減すること

なく演じさせていました。

(3)

主人公の男性写真家の恋人を演じた松田リマさんは、映画

の序盤から、薄めのヘアとその下の性器の一部まで結構長

い時間さらして彼とベッドに横たわる全裸シーンを、臆するこ

となく演じていました。

また、帰宅したリマさんと軽くキスを交わし合っていた写真家

（安藤政信さん）の性欲がしだいに高まり、性行為に移行して

ゆく濡れ場や、バスタブのなかの絡みで、湯に揺らめくリマさ

んのヘアに隠された性器に、安藤さんが指を挿入するような

シーン（！）まで、バスルーム全体を俯瞰するカメラアングル

によって、生々しくスクリーンに映し出されていました。

※

当日の映画チケットです。

公式パンフと同じように、3月21日に、「永夏子」という

サインをいただきました。

(4)

一方、この写真家に自らの性器の撮影を依頼した女性を演

じた永（はる）夏子さんの方も、まずは、上半身は着衣の上、

パンティを脱いで股間のみを開いて撮影させるシーン（上に

掲載した映画ポスター画像参照）から始まって、全裸シーン

も含めて、スレンダーな肢体と清楚な容姿からは全く想像で

きなかった見事な美巨乳と短冊形のヘアを、大胆に披露し

てくれました。

特に、アメリカ人女性のような大きめの乳輪から成る豊かな

乳房には、”神々しさ”さえ感じました。

撮影中に欲情にかられてしまった写真家が、全裸の永さん

を押し倒して強引に性行為への移行を試みたものの、永さ

んは毅然としてそれをはね除け、撮影を再開させた……と

いうようなシーンも、印象に残りました。

（このシーンはあまり近い距離から撮っていませんでしたの

で、バタバタと抵抗している股間のヘアが映った程度でした

が、もし近い距離からの撮影でしたら、ヘアのみならず性器

の一部まで露出してしまった可能性もありました。）

また、男性写真家を中にはさんでの奇妙な三角関係を象徴

するシーンかと私は解釈したのですが、出産後に赤ちゃん

に授乳している松田リマさんの可憐な乳首を、永さんがしっ

かり吸う……というようなシーンも、ありました。

※　上映終了後に、監督や役者等による舞台挨拶

があり、さらにその後、ロビーにて観客の求めに応

じてサインをしている、松田リマさんです。

（上述しましたように、残念ながら永夏子さんは、当

演劇祭の舞台挨拶には出席しておられません。）

(5)

率直に書かせていただくと、美しい女性のオールヌード

に接して、ほとんどの男性は性的興奮を覚えると思い

ます。

それがこの映画においては、永夏子さん、松田リマさん

という美人女優のヌードですから、当然ですよね。

「映画評といっても、要するに、二人の女優のヌードシ

ーンと濡れ場についてしか書いてないじゃないかっ！」

というご批判も、予想されます。

それについての私の返答は、「この映画の性格上、そう

いった観点が中心になってしまいましたが、ただそれだ

けで終わってしまう映画では、もちろんありませんでした

…」となります。

お二人の女優さんに関しましても、例えば松田さんの方

は、新体操競技の選手経験を活かした前後180度の開

脚シーンを映画の冒頭から披露するなど、若さとか瑞々

しさに潜むエロティシズムを、遺憾なく表現していました。

一方、永夏子さんの方は、「理由等を一切尋ねないで、

ただ自分の性器を撮影してください…」と写真家に依頼

する女性（しかもアートの世界に身を置く女性）という、ミ

ステリアスかつアンニュイな役柄のベールに包まれたこ

とによって、持ち前のため息が出るくらいの美貌が、より

一層妖しくスクリーンを彩っていました。

加えて、山梨県の自然そのもののが持つシンプルな美

しさと、そこに降り注ぐ自然光や透明な空気感が織り成

す、あたかもパワポのスライドショーのように展開する映

像のメタモルフォーゼ。

（ちなみに私が最も印象に残った「風景シーン」は、JR

小海線の駅に写真家が降り立ち、撮影を依頼した永夏

子さん演じる女性と落ち合うカットでした。）

一貫して”螺旋”を基調とした映像美を通奏低音として、

終盤の女性器スティル画像の連続映写が、猥褻さとは

違う次元の”締めくくり感”をもたらしてくれたアートフィ

ルム。

以上が、現段階で書くことができる、私の『スティルライフ

オブメモリーズ（オリジナルver.）』についての感想です。

冗長なだけの文章を最後までお読みいただき、ありがと

うございました。

（なお、まさに蛇足ではありますが、この作品には既に

英語の字幕が入っていました。海外での上映並びに高

い評価をも、大いに期待しております。）

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